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【 隠し事の多い魔王様 】



リンドヴルム魔王は、いつだって自分の事を隠すんだ。
外交の時は『影纏いの外套』……影のマントを羽織って、その身体を暗闇に隠してしまっているから、ほとんどの人は魔王の本当の姿は見たことないんじゃないかな?
そう考えるとティトってそうとうめずらしーものが見れて運が良いよねー? ……って、運が悪いからこんな狭いとこにいるのか。ごめん。

もしも魔王がたまーに夜中にひっそりこっそり来るのが怖かったら、「姿を隠してきて?」とか頼んでみたらどーかな?
マントとかケープって良いよね、だって羽がないのも装備の能力を使わなくても隠せるもの。
僕みたいな非力な猫には解らないけれど、竜という種族にとって大事みたいよー、お羽って。

隠すといえば、リンドヴルム魔王はいろんな事を隠してるよ、あのヒト。
姫一人攫っている事を各国に隠してるのもそうだけどさー、自身のこととかさ。
強さも、食性も、未熟さも、抱え込んでる孤独も、ホントはすんごく強欲でイヤしんぼな事だって。
……まー、これ以上は。かんこーれい、しかれちゃってるの。

だって本当の自分を見せてしまったら怯えさせて、嫌われて、今以上に彼から離れていってしまうかもしれないからね。

魔王の欲張りな所は心すら欲しがる事だよねー。

最近ティトに色々してあげてるみたいだけど、ティトの事……何もしらない、あいがんどーぶつとして手懐けようとでもしているのかな?
うーん、何でもない。気にしないで。じゃあ話している間に掃除も終わっちゃったし、僕帰るね。
それじゃ、また明日……お姫様。



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